Doc’s best cement(ドックベストセメント)治療とは、むし歯になった所にドックベストセメントという薬を詰めて治す治療で、ほとんど麻酔を使わず、削らないで治療が行えます。
お薬といいましても3mix法のような抗生物質とは違い、人間の血液中に含まれる抗菌力と様々なミネラルの力でむし歯菌を死滅させ元のような硬い歯質に戻ります(ただし、強い痛みが既に出ている歯には使用できません)。
また、このセメントはアメリカで開発され20年近くになり、その有用性、安全性、継続性が実証されています。
日本には数年前から普及してきました。
成分に銅、亜鉛、リン、鉄、アルミ、酸化チタンなどが含まれ、銅が殺菌作用の主をなし、他のミネラルはむし歯で感染した歯の再生に使われます。
銅は、昔から殺菌法のひとつとして幅広く用いられ、微量でも殺菌力が強いことが知られています。
触媒によりイオン化した銅は細菌の細胞壁に吸着浸透し、細菌の生命活動を阻害し死滅させる働きがあります。
FeイオンとCuイオンの電位差がバイオフィルム(むし歯菌がつくる歯を溶かす膜)の生成を阻止します。
抗生剤などの薬剤ではなく、ミネラル成分によるむし歯菌の殺菌作用によりむし歯を治します。
削る量が少ないので、そのままCRにて詰め物をします。
ドックベストセメントを使用する必要はありません。
通常なら、むし歯の部分をすべて取るため大きく歯を削ります。
ドックベストセメントを使用することで、むし歯菌の部分をほとんど削り取る必要性はないので、大事な歯を、極力削らないで済ませることができます。
また、神経の上の自分の歯をほとんど削らないので、歯がしみにくいというメリットがあります。
⇒通常の治療では・・・
歯の中にある神経をすべて取って、取った後の部分に神経の代わりになるゴムの詰め物をします。
⇒ドックベストセメントでは・・・
むし歯菌の感染部分を全部取ってしまうと神経が出てしまいますので、神経まで達しているむし歯の部分を除去しないで、お薬を詰めます。
お薬のミネラルはむし歯菌を殺菌する成分を半永久的に出し続けます。
様々なミネラルがむし歯菌の酸によって軟らかく溶けかかった歯質を硬くしてくれます。
つまり、ただむし歯が治るだけではなく、再発を予防してくれる大変優れたお薬なのです。
歯の中にむし歯菌があった箇所が残りますが、むし歯菌はドックベストセメントで死んでいるので、しっかり密封すれば、そのまま大きくなっていくことはありません。
■神経を取らなくてはならない大きなむし歯の神経を取らないで済ませることができる。
(神経を取ると一般に歯の寿命が短くなる)
神経はかなり複雑な形をしており特に根尖部(根の先の部分)が複雑になっていると、どんなにしっかりと神経をとってもまた痛みや歯ぐきの腫れが生じやすいと一般に言われています。
神経を取った後、再発して痛みや腫れが生じた時には、再治療できれば良いですが抜歯になってしまう可能性も高いのです(この方法での治療後、痛みが生じても再度神経を残して再治療できる場合もあります)。
■神経に達していない中等度のむし歯の場合でも、むし歯菌を削り取らないので、大切な歯を削る量が非常に少なくて済む。
特にお子様の若い永久歯のむし歯には最適な治療方法です。
人が一生、自分の歯で過ごすには歯を70年、80年と維持しなくてはなりません。
生えそろってから何年も経っていないお子様の永久歯。その頃から神経の処置まで必要なむし歯の治療をすると、どうなるでしょうか?
前述しましたように、神経を取ると歯の寿命は短くなりますので、その後、数十年も維持するのは困難と言わざるを得ません。
「一生できるだけ長く自分の歯で暮らす」そういう観点から、極力、神経をとらないで済むドックベストセメントは、お子様に最適な治療方法であると考えております。
■治療回数が少ない。通常2~3回
一つ軽い治療になるので、一般に歯の寿命が延びる。
(万一、治療後痛みが生じた時には、その時に通常の神経を取る治療ができる。)
■薬ではないので、お薬にアレルギーのある方にも安心して使用できる。
■ドックベストセメントをいれた部分は、永続的な殺菌効果が期待できる。